会津清酒、秋の楽しみ方(2024年)
「その季節、いちばんうまいものを、産地で味わう」
地元酒販店とあいづ食の陣参加店に、おすすめのお酒と旬の一品の
組み合わせをお伺いしました。
植木屋商店 18代目店主/ 白井 與平 さん
<酒販店に聞く、会津の秋の楽しみ方>
「ひやおろし」「秋あがり」
秋の会津清酒、「ひやおろし」「秋あがり」とは?
蔵元によって定義は様々ですが、「ひやおろし」とは、新酒を秋まで熟成させてから売り出す日本酒のこと。古くは江戸時代から、「秋のお酒」として珍重されてきました。日本酒の製造工程では、味や風味の劣化を防ぐために「火入れ」と呼ばれる加熱処理を貯蔵前と瓶詰め前の2回行いますが、「ひやおろし」は1度目の火入れのみを行った「生詰め酒(なまづめ)」を涼しい蔵でひと夏貯蔵し、熟成させたもの。2度目の火入れをしない「ひや」の状態で出荷した=「卸(おろ)した」ことから「ひやおろし(冷卸)」と呼ばれるようになりました。2度目の火入れをしない分、よりフレッシュな味わいを堪能できるお酒です。また「秋あがり」とは、新酒を秋まで貯蔵し、旨みが増した状態のことを指します、どちらも新酒の荒々しさが取れて、まろやかな「日本酒らしい味わい」となっています。
白井さんがおすすめしたい、お米とのマリアージュは「お寿司」。他にも、秋の味覚と合わせて、また、暑さがまだ残る初秋には冷酒やオンザロックで楽しんでみてください。肌寒くなってきたらお燗もいいです。冷酒、冷や、燗酒と、温度帯の違いによる味わいの変化を味わえます。
会津清酒のここが素晴らしい!
甘口の傾向はありますが、味のバランスがとれていて飲みごたえがあり、のど越しのキレが良いのが特徴です。会津地域の酒蔵同士は仲が良く、おいしいお酒を作っていこう!という気持ちが味に現れています。
日本酒を楽しむために知っておきたい基礎知識
「お酒のラベル」を読める知識があると、どんなお酒か想像できるので選ぶのが楽しくなると思います。純米酒や吟醸酒、酒米の品種などによっても味の傾向がありますので、自分の好きな銘柄の情報だけでも知っておくと良いかもしれません。しっかりとした日本酒の知識を持った居酒屋さんに飲みに行って情報収集するのもおすすめです。
酒販店でお酒を選ぶ良さについて
お客様の好みを伺った上で、お酒をおすすめできるところですね。お好きな「銘柄」を教えていただけると、よりお好みのお酒をおすすめできます。一本一本の良さを理解して、お客様に喜んでいただけるお酒との出会いを提供できれば、と考えています。
店内には店主セレクトの音楽が流れる
季節の会津清酒を数多く揃える
郷土料理と会津牛 渋川問屋 女将/ 澁川 晴子 さん
郷土料理、会津清酒、懐かしい街並み、文化が残る城下町
会津には長い歴史の中で、人づてに伝えられてきた素晴らしいものがたくさんあり、そういった良い文化を見極め、残していく、という土壌があると思います。その中でも会津清酒は、全国新酒鑑評会での金賞受賞数や全国的な評価も高く、ぜひ多くの皆さんに味わっていただきたいです。関東出身の私が会津に来た頃、会津清酒を初めて飲んで「本物の日本酒に出会った」と感動しました。米の味がしっかりとして、お料理の良さを十分に引き立て、共に楽しめるお酒だなと感じています。
これからも親しまれる会津の味を
元は海産物問屋だったこともあって、海の乾物を使った郷土料理を中心にお出ししています。鰊の山椒漬け、鰊の昆布巻き、棒たら煮など、地元会津では古くから親しまれていた味です。日数をかけ仕込みをし、味が熟成された郷土料理には、同じく熟成された、秋の「ひやおろし」や「秋上がり」がとても良く合います。また、この新米の季節の会津産ひとめぼれを使った「舞茸ごはん」は当店秋の自慢の一品。新米のフレッシュ感、もちもちとした食感、秋の味覚である舞茸の旨み、ぜひ深みのある秋のお酒と一緒に楽しんでいただきたいです。
<秋の会津、郷土の味と清酒のマリアージュ>
味鰊の山椒漬け
会津ではおなじみの
味鰊(にしん)の山椒漬け(さんしょうづけ)
勿論、会津清酒に合う
秋の自慢の一品、新米の舞茸ご飯