会津清酒、夏の楽しみ方(2025年)
会津の米、水、そして蔵人の手によって生まれる、味わい深いお酒。
伝統を守りながら、新しい味の可能性に挑戦する花春酒造の酒造りについてお聞きしました。
花春酒造株式会社 取締役製造部長 兼 杜氏 兼 商品開発部長/ 柏木 純子 さん

<杜氏に聞く、「会津のお酒」夏の楽しみ方>
天宮 純米酒夢の香 生
杜氏の”わがまま”から生まれた一本
米と水と風土が織りなす会津ならではのお酒
会津は「米どころ」として知られる土地ですが、水や風土、気候にいたるまで、酒造りにとても適した環境です。
なかでも特に恵まれているのが水。私たちの蔵では、地下100メートルからくみ上げた井戸水を使ってお酒を造っています。水質は軟水で、辛口のお酒も丸くやわらかい口当たりに仕上がります。
日々に寄り添う花春酒造の酒造り
飲んだ時のインパクトが強い、華やかで派手な味わいのお酒も良いですが、私たちが目指しているのは、華やかさはなくても飲むとほっと癒されるような、日々の暮らしに寄り添う、やさしいお酒です。会津の水の良さと米の旨みを生かし、会津の蔵人が仕込む〝ここでしかできない酒造り.を通して、「会津の味」を届けたいと考えています。
自分たちで米から育て、あえて機械を使わずに、オール手づくりで仕込んだお酒もあります。昔ながらの手をかけた製法を大切にしながら、一つひとつ丁寧に酒造りと向き合っています。
利き酒が導く酒造りのヒント
もともとお酒が好きで、旅先でもその土地の地酒を味わいます。思いがけず心を動かされる味に出会うこともあり、その感動と記憶を持ち帰って「こんなお酒を造りたい」と社内で提案することも。「天宮」は、まさにそんな私の〝わがまま〞から生まれた一本です。新しいお酒を造るときは、利き酒で舌が感じた魅力をどう表現するかを常に考えています。
しっかりと冷やして夏野菜と共に楽しむ一杯
キンキンに冷やしたお酒をグラスで楽しむのが私のお気に入りの飲み方です。度数が高くしっかりした味のお酒なら、ロックでも楽しめます。もろきゅうなど、会津の新鮮でおいしい野菜をシンプルに味わう料理ともよく合います。

心を動かされる味を求めた「天宮」

均一に空気に触れるよう、手作業で蒸し米を冷ます